2018年10月30日火曜日

くまさん・れぽーと vol.0130





◆【総務常任委員会 視察】震災の記憶の継承とコミュニティ◆



 総務常任委員会では今年のテーマを「防災・減災のまちづくり」としており、そのためには地域コミュニティが重要であるという視点から、今回の視察となりました。今号では大船渡市の視察を取り上げ、次号で陸前高田市について記事にしたいと思います。10月17日、18日に総務常任委員会で大船渡市、陸前高田市を視察しました。

■ 震災記憶継承の重要性
 大船渡市では、災害直後の対応と課題についての説明と質疑応答ののち、防災センターを視察しました。
 大船渡市には以前から津波にまつわる石碑があり、特に吉浜地区では石碑よりも下には住居を作らなかったということです。
 東日本大震災の津波はそれを超えたものでしたが、全半壊4戸・死者1名と他地域と比較して被害を少なくおさえる結果につながったということです。このことは大船渡市の高台移転の際に生かされています。記憶の継承も重要な課題です。

■ 避難所運営の課題
 避難所運営については、地域の公民館単位で町内会があり、そこが大きな力を発揮したということでしたが、一部に様々な地域からあつまった避難所があり、そこでは運営が大変だったとのこと。地域で顔の見える関係をどうつくるのか?多摩市の課題と通じる問題です。
 また、被災直後には避難所に職員を配置する余裕がないということも明らかになり、直後には避難所運営を地域の市民みずから行うことが必要になるということでした。これは震災をつうじて多摩市など他自治体にも広がっている教訓です。
自宅避難についても、「自宅にいるかたも被災者」ということを位置付け、各避難所に対応を求めたとのことでした。行政が位置づけをはっきりとさせることは重要です。

■  他地域との連携の重要性
 大船渡市には以前JAXAの気象観測施設があり、それが縁で銀河連邦というJAXAの施設のある自治体同士での交流の枠組みがあります。震災の際には、この「共和国(所属自治体)のみなさんから多くの支援をいただいた」とのこと。
 近くの自治体同士の連携ももちろん重要ですが、広域的な災害のさいにはお互い被災することになります。地理的にも少し離れた、まちの成り立ちも様々な自治体同士の連携が大きな力になった事例です。

■  高機能デジタル消防指令センター
 市役所での視察ののち大船渡市防災センターも視察させていただきました。こちらは震災後に建てられた新たな施設で、消防本部や消防署がセンターの中に配置されています。
 以前の消防庁舎は、震災による大きな被害はなかったものの、津波が300m手前にまで迫ったこと、緊急消防援助隊や国際救助隊等の受け入れの際に、敷地が狭く支障をきたしたこと等から、現地建て替えが決まっていたが、それを中止し、高台に移転したとのことでした。
 最新鋭の高機能デジタル消防指令システムが稼働しており、消防署の車両だけでなく、消防団の車両にもデジタル無線を配置し、消防署・消防団両方の車両の位置情報をつかんで、対応にあたっているということでした。

■  消防団員の命をまもる「20分ルール」
 大船渡市では震災の際に、消防団員が3名殉職されています。その教訓から「20分ルール」が定められました。
 地震・津波災害時の消防団員の活動時間を注意報・警報等の発表から20分間と定め、20分間経過後は津波の来襲に備えて自らも叫びながら高台へ退避するというものです。なぜ20分なのか?最短で警報から25分で津波が来襲するので退避の時間も含めてということでした。二度と殉職者をださないという決意をを感じます。
 多摩市でも、様々な見守り制度などあります。「災害時など、見守っている相手を担いででも逃げなきゃいけないのでは?」といったような誤解もありますが、そういった際には、まずは自分自身や家族をまもる。その上でやれることをという仕組みになっています。まずは自分や家族の安全確保ということを周知徹底すれば、もっと地域での緩やかな見守りを「やってみよう」という方が増えるのではないでしょうか。

■  地域コミュニティの力
 
今回、大船渡で印象に残ったのは、本当に地域コミュニティの力が発揮されている地域だということでした。しかし、コミュニティの力の基礎は「顔の見える関係」なので、なんらかの理由でバラバラになると、当然ですが機能しないということでした。ハード面の復興だけでなく、コミュニティなどソフト面の復興も大きな課題だと感じました。


〇ふきだしこらむ〇
 本文とは他の角度から今回の視察を振り返ると、とにかく移動が長かった印象です。まずは大宮駅で集合、新幹線→大船渡線→BRT。6時前に家を出て、ついたのは14時頃でした。もちろん帰りもほぼ同じ行程。2日続けてですからそれなりに堪えました。

〇無料なんでも相談会〇
 11月18日(日)※毎月第三日曜日 14:00~16:00
 豊ヶ丘・貝取団地集会所

2018年10月11日木曜日

くまさん・れぽーと vol.0129

◆【内部通報】再発防止、信頼回復を!◆

 議会最終日、市長から議会に対して、「内部通報」に伴う調査報告書についての行政報告が行われました。①「工事委託料清算の不適切な処理」、②「業務システムの発注手続きの不適切な処理」の2点について、違法性および、副市長の関与が認定されました。(役職はいずれも当時)

■ 市民・議会軽視は許されない
 ①では、決裁権のない下水道課長による2つの決裁によって、不適切な清算処理が行われていました。また、そのことを議会・市民にも隠していました。副市長の対応は不適切であり、また、コンプライアンスを統括する文書法制課、総務部の対応も不十分なものでした。
 ②では、下水道課長が業者に「発注内示書」を渡し、予算も契約もないまま事業が開始されていました。さらに、上司である都市整備部長が副市長に報告しましたが、経緯を隠したまま、一部を事業化し2017年度の予算として成立させました。この件は、市長にも報告がされていませんでした。隠ぺいのために違法な処理が積み重ねられ、市民、議会、市長をも欺くものとなっています。

■ 丁寧な対応と今後の検討が必要
 違法性が認められなかったものも、診断書偽造事件で「自主退職で進めることはできないか?」とした副市長の発言は法令順守を進めるべき立場として「慎重さを欠いていた」とされました。
 土地交換問題については、「仮契約」という手法では難しかったが、「土地交換」というやり方そのものは可能という判断であったのであれば、その時点での議会への情報提供が必要だったのではないでしょうか?

■ 日本共産党と議会の対応
 日本共産党多摩市議団を代表して小林憲一市議が、市長の減給(10分の1、1か月)を行う条例の討論に立ち、上記の点を指摘、その背景には公務の本分を忘れ、「民間にならえ」とする風潮があること等を厳しく質しました。
 また、議会全体としても、「市議会の役割と責任を軽んじた市政運営に対し抗議し、万全な再発防止策を求める決議」があげられました。
 市長と議会。二元代表制のもとで、市民からの信頼回復を進めることが求められています。

全会一致で決議があげられました。


◆政府へ直接、要望を届けました◆
 10月9日、全都の日本共産党地方議員団で政府交渉を行いました。直接政府へ要望や地域の現状を伝えることができる機会ですので張り切って参加してきました。朝の9時集合、終了したのは17時をまわっていました。国交省との交渉では下記のようなやり取りがありました。

■ URの空家問題解決を
 国交省との交渉では、「都市計画」「防災」「住宅」の分野で14項目の要望書を手渡しました。その中で、URの空家問題について、豊ヶ丘での独自調査の結果をもとに発言しました。(〇=私、●=国交省)

〇URの空家は4~5%ということだったが改修の済んでいないものなどをのぞいたもので、実際にはもっと多い。空家数の把握などはきちんと行われているのか?
●URはきちんと把握している。 
〇であるならば、空家対策を進めていただきたい。豊ヶ丘では、空家のうち募集がかかっているものは10%しかない。どうしてなのか? 
●各団地の個別のデータは手元にないが、建て替えなどのために募集していないところもある。
〇多摩市の団地についてはストック活用となっている。データを示して、空家対策を進めることが必要。 
●後ほどデータを届ける。 


■ 空家問題解決へ一歩前進
 これまで、政府交渉や国会議員団へのレクなどに度々参加し、同様の要請を行ってきましたが、URは「空家の数は把握していない」と言い続けてきました。「把握していない」といわれたらこうしようという準備もしていましたが、今回は数を把握していることを認め、どういった理由で入居がないのかということも含めたデータを出すという答えを引き出すことができました。

 こうしたデータをもとに引き続き、住み続けられる多摩市、住み続けられる団地へと、引き続き、全力でがんばります! 



〇ふきだしこらむ〇
長かった決算議会もようやく終わり、これでほっと一息。とならないのが、多摩市議会です。
 最近は議会運営委員として視察の対応や、秋の議会報告会の準備。また、健康福祉常任委員会で進められている条例について勉強したりしています。