◆【総務常任委員会 視察】震災の記憶の継承とコミュニティ◆
総務常任委員会では今年のテーマを「防災・減災のまちづくり」としており、そのためには地域コミュニティが重要であるという視点から、今回の視察となりました。今号では大船渡市の視察を取り上げ、次号で陸前高田市について記事にしたいと思います。10月17日、18日に総務常任委員会で大船渡市、陸前高田市を視察しました。
■ 震災記憶継承の重要性
大船渡市では、災害直後の対応と課題についての説明と質疑応答ののち、防災センターを視察しました。
大船渡市には以前から津波にまつわる石碑があり、特に吉浜地区では石碑よりも下には住居を作らなかったということです。
東日本大震災の津波はそれを超えたものでしたが、全半壊4戸・死者1名と他地域と比較して被害を少なくおさえる結果につながったということです。このことは大船渡市の高台移転の際に生かされています。記憶の継承も重要な課題です。
■ 避難所運営の課題
避難所運営については、地域の公民館単位で町内会があり、そこが大きな力を発揮したということでしたが、一部に様々な地域からあつまった避難所があり、そこでは運営が大変だったとのこと。地域で顔の見える関係をどうつくるのか?多摩市の課題と通じる問題です。
また、被災直後には避難所に職員を配置する余裕がないということも明らかになり、直後には避難所運営を地域の市民みずから行うことが必要になるということでした。これは震災をつうじて多摩市など他自治体にも広がっている教訓です。
自宅避難についても、「自宅にいるかたも被災者」ということを位置付け、各避難所に対応を求めたとのことでした。行政が位置づけをはっきりとさせることは重要です。
■ 他地域との連携の重要性
大船渡市には以前JAXAの気象観測施設があり、それが縁で銀河連邦というJAXAの施設のある自治体同士での交流の枠組みがあります。震災の際には、この「共和国(所属自治体)のみなさんから多くの支援をいただいた」とのこと。
近くの自治体同士の連携ももちろん重要ですが、広域的な災害のさいにはお互い被災することになります。地理的にも少し離れた、まちの成り立ちも様々な自治体同士の連携が大きな力になった事例です。
■ 高機能デジタル消防指令センター
市役所での視察ののち大船渡市防災センターも視察させていただきました。こちらは震災後に建てられた新たな施設で、消防本部や消防署がセンターの中に配置されています。
以前の消防庁舎は、震災による大きな被害はなかったものの、津波が300m手前にまで迫ったこと、緊急消防援助隊や国際救助隊等の受け入れの際に、敷地が狭く支障をきたしたこと等から、現地建て替えが決まっていたが、それを中止し、高台に移転したとのことでした。
最新鋭の高機能デジタル消防指令システムが稼働しており、消防署の車両だけでなく、消防団の車両にもデジタル無線を配置し、消防署・消防団両方の車両の位置情報をつかんで、対応にあたっているということでした。
■ 消防団員の命をまもる「20分ルール」
大船渡市では震災の際に、消防団員が3名殉職されています。その教訓から「20分ルール」が定められました。
地震・津波災害時の消防団員の活動時間を注意報・警報等の発表から20分間と定め、20分間経過後は津波の来襲に備えて自らも叫びながら高台へ退避するというものです。なぜ20分なのか?最短で警報から25分で津波が来襲するので退避の時間も含めてということでした。二度と殉職者をださないという決意をを感じます。
多摩市でも、様々な見守り制度などあります。「災害時など、見守っている相手を担いででも逃げなきゃいけないのでは?」といったような誤解もありますが、そういった際には、まずは自分自身や家族をまもる。その上でやれることをという仕組みになっています。まずは自分や家族の安全確保ということを周知徹底すれば、もっと地域での緩やかな見守りを「やってみよう」という方が増えるのではないでしょうか。
■ 地域コミュニティの力
今回、大船渡で印象に残ったのは、本当に地域コミュニティの力が発揮されている地域だということでした。しかし、コミュニティの力の基礎は「顔の見える関係」なので、なんらかの理由でバラバラになると、当然ですが機能しないということでした。ハード面の復興だけでなく、コミュニティなどソフト面の復興も大きな課題だと感じました。
〇ふきだしこらむ〇
本文とは他の角度から今回の視察を振り返ると、とにかく移動が長かった印象です。まずは大宮駅で集合、新幹線→大船渡線→BRT。6時前に家を出て、ついたのは14時頃でした。もちろん帰りもほぼ同じ行程。2日続けてですからそれなりに堪えました。
〇無料なんでも相談会〇
11月18日(日)※毎月第三日曜日 14:00~16:00
豊ヶ丘・貝取団地集会所
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